コラム No.3 ホテル1
2009年6月22日
ホテル1
先ず、ホテルのことについて書いてみます。基本的なチェックインについてです。
ホテルに到着すると最初に鍵をもらいます。鍵をもらわなければ、部屋には入れません。鍵をもらうことをチェックインとも言いますが、この鍵をもらう作業は旅行運営者にとっては意外にたいへんなことなのです。
団体旅行では多くの場合、個人がホテルのフロントでチェックインするのではなく、運営側が事前にまとめて鍵を受け取り参加者に配ります。例えばバスが5台ホテルに到着して、200名がチェックインするためにフロントに列を作る光景を想像してみてください。バスがホテルに到着して、ホテル内の説明会会場に案内されて、そこで鍵が配られる方がスムーズな運営方法であることが理解されると思います。
運営側は鍵を事前にホテルから受け取ることになります(鍵出し)。この鍵出しという仕事は簡単なことと思われがちですが、これが意外にたいへんなことなのです。
このたいへんさを説明するのに、個人の場合はどうなっているのか説明します。個人の旅行者は当たり前のようにチェックインして鍵をもらっています。時間的に言えば、通常11時、12時がチェックアウト時間で、15時以降がチェックイン時間になっています。場合によっては15時前でもチェックインができることもあります。反対に16時以降、18時以降、20時以降と個人客のチェックインする時間はバラバラです。つまり15時の段階ですべてのチェックアウトされた部屋がクリーンアップされていなくてもいいわけです。いつも団体客がいるわけでもないので、通常部屋をクリーンアップする人員(マンパワー)は個人チェックインをベースに配置されています。
ところが、団体の場合一度に150室、300室と多くの部屋の鍵が必要になります。個人客の場合でバランスが取れていたものが崩れてきます。部屋のクリーンアップが間に合わないケースが発生することは簡単に想像できます。
昔から団体旅行の初日のスケジュールは、到着してから市内観光、昼食、ショッピングを済ませて、なるべく遅い時間にホテルに到着すように組まれていました。ホテルに遅く到着させる大きな理由は鍵だしの問題です。昔はこれで良かったかもしれませんが、海外旅行が一般化された現在では、その旅行先が2度目、3度目の人も多く、同じ方法で運営することがむずかしくなってきています。ハワイのホノルルがいい例です。ホノルルに行く参加者の多くの方が既に行ったことのあるリピーターです。市内観光は、最初の1回で十分です。
運営する側も参加する側もなるべく早く鍵をもらって、部屋に入り自由な時間を望むようになってきました。つまり、運営側は15時に150室、300室の鍵をもらうことが必要になるわけです。
ホテルによっては、部屋のクリーンアップを効率良くするシステムを構築しているところがあります。簡単に言えば、チェックアウトした部屋がでたら、すぐに部屋をクリーンアップする担当の人に連絡が入るようにして効率よくすることになると思います。
ところが、いろいろと問題もあるようです。部屋をクリーンアップする人の給料は高額ではなく、宿泊者のピローチップ(枕銭)が収入の一部になっています。レストランのウエイターが受け持ちのテーブルが決められているように、部屋をクリーンアップする人も担当する部屋が決まっていて、他の人のテリトリーが忙しくても手伝えないというような歯がゆい状況も生まれているようです。
15時までに予約している部屋の鍵全てを出してもらうことは、ホテルの頑張りが必要になります。日本人の営業担当もしくはローカルの営業担当がいる場合、その営業担当が各関係部署と強い連携を持って対処しない限りむずかしい作業になります。つまり、参加者、運営者に満足してもらい、また次も利用してもらえるようにホテル全体が一致団結して対応してもらえるかどうかになります。反対に運営側はホテル側に一団結して対応するように仕向けることが仕事になります。そこが腕の見せ所になります。
また、反対に見込みが薄い場合、希望する時間に鍵がもらえそうにない場合は、別の方法も視野にいれなければなりません。
ラスベガスに直行便が運行していた時の話です。当時、直行便を利用すると午前10時にはラスベガスのホテルに到着してしまいます。経由便利用でも午後2時前にホテルに到着するパターンが発生します。つまり15時前に鍵出しができた方が、参加者にとっても、運営者にとっても好ましい状況であるわけです。また、15時まで時間をつぶしたとして、その時間に全ての鍵出しができるのか確信が持てませんでした。そこで、参加者の半数の部屋をアーリーチェックインにすることにしました。アーリーチェックインとは、簡単に言えば宿泊する前日から予約することです。もちろん、宿泊代も1泊分余分にかかります。経費的には余分にかかる1泊分の宿泊料とチェックインできる時間までの観光や食事などのかかる費用との比較になります。ラスベガスのホテル代は、他の大都市の同ランクのホテルと比べると少し安くなっています。経費的な面、運行面、参加者の満足度を考慮すると、そのときに選択した半数の部屋をアーリーチェックインにする方法は間違った判断ではなかったと断言できます。ホテル側も残りの半数の部屋(当日チェックイン分)の鍵出しに関しては、運営側の意気込み(熱意)を感じたらしくスムーズに出ました。
最悪な場合は、説明会会場いる参加者に準備ができた部屋から順番に鍵が配られる状況です。これは困りますよ。第一不公平感があります。「どうしてあの人たちだけ鍵が出て、私たちにはでないの」になります。これだけは避けたいですよね。
この鍵出しは、運営側にとっては最初に訪れる試練といえるでしょう。この最初の試練でしくじると参加者にとっての旅行に対する印象が悪くなり、これを取り戻すのにたいへん苦労します。反対にこの最初の試練を無事にクリアすれば、後の運営が少し楽になります。
この鍵だしは運営側にとっては腕の見せ所ということです。









